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執筆者の写真石川加奈子

護身術講師に直撃インタビュー



皆さんこんにちは。

hitomomo管理人の石川加奈子です。


女性のための護身術シリーズ『Defence Mistress』。

今回は番外編。護身術をレクチャーして下さった特殊技術インストラクターのY氏に、護身術の目的や普段からどのようなことを気をつけたらいいのかなど、色々と聞いてみました。


 
護身術の目的、ゴールは何ですか?

これから護身術をやられる方に覚えておいて頂きたいのは、まず、危険から離脱することが最終目的なんですけど、その前に、そもそもスタートが皆さんのイメージとは違っていて、未然に防ぐこと、危険に寄り付かないこと、危険を寄せ付けない態度を徹底すること。

危険なことが起こる可能性を限りなくゼロにしていくことが一番の護身術になってきます。最終的なゴールと言われれば「始まらないこと」。「危険が始まらないこと」がゴールではあります。






いざ身の危険に遭遇した時に、まず考えるべきことや取るべき行動は何ですか?

身の危険に遭遇した時は、まず自分の身体を守ること。ただ、離脱権、どちらに離脱、逃げるべきかということは、危険に遭遇する前に確認しておいていただきたいと思うところではあります。実際に起こってから慌てて確認するよりも、まず起こる前に、「もし起こったらこちらに逃げよう」、「もし起こってしまったらこう対処しよう」というのを予め自分の想定の範囲におさめて常に行動していただくことが良いとは思います。

ですが、実際に起こってしまったら、その時は相手との距離を確実に2メートル取ること。確実に2メートルです。この距離はパーソナルスペース、人が向かい合った状況からお互いにどう仕掛けるか間合いを取りながら、片方が仕掛け始めたのを確認してから離脱するのにギリギリの間合いと言われています。なので、危険な相手、危険なものに対して距離感覚2メートルということを第一に考えて下さい。



では誰か怪しい人が来た時は、まず自分とその相手に対して2メートルの間隔を空けるようにするということですか?

そうです。最低2メートルです。2メートル以上あればより好ましいです。ただ、間隔をあからさまに空けてしまうと、それは相手からすれば「どうして、どうして」という付け込む隙になりますし、いわゆる因縁をつけられる危険性を生むことになるので、自然に相手との距離を取ること、離脱することを心がけてください。



先程護身術の目的はまず未然に防ぐこととおっしゃっていたと思うんですけど、戦うのではなく、目標は逃げることというイメージですか?

はい、そうです。護身術は「護身」、身を守る術なので、危険が発生しないことこそが最高に身を守れている状況です。

例えば警察組織ですとか軍隊組織、戦闘員などになってくると、対峙した相手を「逮捕・制圧・無力化・処理」しなければいけない状況になってきますが、護身術の場合、自分の身を守る、安全に離脱できることが一番重要なことだと思っておりますので、戦うことではなく、安全に距離を保つ、安全に間合いを切る、安全なところへ逃げることができることを最も重要視していただければと思います。



身の危険に遭遇することは滅多にないと思いますが、普段からイメージトレーニングをしておくといいことなどはありますか?

イメージトレーニングでは、常に自分の重心、テクニカルなところですけど、自分の重心を動かせるように意識して下さい。足がベタ足ではなく、足を小刻みに踵とつま先で重心を動かしていたりとか、片足に体重を載せたままにしないですとか。例えば、駅のホームでも、片足をちょっと前に出して電車を待つだけでも、後ろから押された時、交差点の信号待ちでもそうですけど、それについても押された時に一歩踏み出して堪えることが出来るようになります。そして、体を緊張させないこと、こわばらせないことですね。人はふとした瞬間、恐怖に直面した時は体がこわばってしまうので、いくら普段練習していてもポテンシャルを出せないままに敗北、絶命してしまうことも多々あります。なので、テクニカルにも通じますけど、体を緊張させないようにしておくことが大事です。足のポンプを動かしておくことは、常にトレーニングの一環として行っていただければと思います。


すぐに動けるように片方だけに重心を置いておくのではなく、柔軟に素早く動けるように普段からしておくと良いということですか?

はい、その通りだと思います。


あと、先程おっしゃっていたことで言えば、普段から逃げ道を考えておくこととおっしゃっていたじゃないですか。 街中を歩いている時なども、「こう来たら、私だったら右側に逃げるな」など、そういうことをたまに思い出すと良いという感じですか?

はい、そうです。できれば「たまに」ではなくて「常に」意識していただきたい。テクニカルにもそうですけど、四周、前・後・右・左、それから合わせて上空ですね、何があるかわからないので、しっかり見て警戒して「常に」物心両面の準備を整えておくことが必要です。





ありがとうございます。 では最後に、今日は様々なケースの護身術を教えて頂きましたが、全ての対応に共通するベースとなるような考え方などはありますか?

基本となるのは合気道の精神ではあるんですけども、「円の動き」、こういう回転の動きですね。これは共通する動きになってきます。今は手だけで回転させていますけど、動画の中でもあるように、肘を回転させて相手の腕を振り払うですとか、相手を引くのも、自分の回転を使ったり、円の動きですよね。というのがありますので、相手と直面した場合に、引き合いの線と点の動きではなくて、回転する動きというのをどう応用していくか、ということを考えていただけると根底的なマインドについてはセットできると思います。


あとは相手の行く方向を考えるとおっしゃっていましたでしょうか?

そうです。相手が行きたい方向は、人間の体の正中線、体の真ん中の線からほぼ真っ直ぐ出ているとしてベクトルとして捉えるんですけど、それを、相手をこっちの方向に崩すのであれば、ベクトルとは反対の方向に自分は離脱するというのが大きな特徴です。また、相手の行く方向を相手の腕もしくは脚で阻害するというのも大きなメソッドの一つではあります。


 

今回のインタビューを通して、「危険が始まらないことが護身術のゴール」という考えはとても新鮮でした。危険なことが起こる可能性を限りなくゼロにするために、常に自分の周囲を警戒して、どのように対処するかを意識しておくことが大事なんですね。


「常に」、というのは難しいかもしれませんが、たまにでも意識をするクセをまずは付けていきたいなと私自身は思いました。


また、護身術は状況によって離脱の方法が様々なので、とてもじゃないけど覚えられないって思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、今回Y氏がおっしゃっていた基本的な考え方

  • 相手の進む方向(ベクトル)とは反対方向に離脱する

  • 相手の行く方向を相手の腕もしくは脚で阻害する

といったようなことを押さえておけば、少し冷静に対処できるかもしれませんね。






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