• 石川加奈子

case #1 学校帰りの通り魔

更新日:2020年12月17日




石川:

今日はどうぞ宜しくお願い致します。話しにくい内容かもしれませんが、Iさんの体験について伺わせていただければと思います。


I:

こちらこそ、宜しくお願い致します。


石川:

今日お話いただけるのは、Iさんが高校生の時に遭った体験と伺いましたが。


I:

はい、私が高校2年生の時のことです。


石川:

何があったのでしょうか。お話できる範囲で構いませんので、お聞かせいただければと思います。


I:

はい。もう随分前の話になるので、正確な日付などは憶えていないのですが、短めのダッフルコートを着ていたので、季節は冬だったと思います。当時は皆スカートをウエストのところで折り返して丈を短くして履いていて…私もそうでした。


最寄りの駅から自宅まで歩いている時に、被害に遭いました

家までは、あと…そうですね300メートルくらいのところだったでしょうか。時間は18時くらいだったと思います。私はヘッドホンをして音楽を聞きながら歩いて帰っていました


その時、突然右後方から自転車に追突されて…



石川:

いきなり自転車で追突されたんですか?


I:

はい。その時私は音楽に没頭していたので、一瞬何が起こったのかわかりませんでしたが、追突された右脚がとても痛いのに驚いて…。「何が起こっているんだろう」とまずはイヤホンを耳からはずそうとしました。そうしたら、いきなりスカートの中に手が入ってきたんです。お尻とか股をまさぐってきたので、私はもう混乱してしまって、動けなくなってしまいました。


石川:

追突してきて、さらにスカートの中に手を入れてきたんですか!酷いですね。びっくりして動けなくなってしまうのも当然だと思います。私も多分動けないと思います。


I:

驚きと恐怖で体は固まっちゃうし、声も出ないし。何もできませんでした


石川:

その後はどうなったのでしょうか…。


I:

私にとってはすごく長い時間に感じましたけど、多分犯行時間は1分にも満たなかったと思います。もしかすると30秒もなかったかもしれません。


その男の人は私のカラダをひとしきり触ったら、また自転車に乗って去っていきました。

あっという間の出来事でしたし、暗かったし、後ろから襲われたので、犯人の顔も見られなかったです。その後しばらく呆然と道に立ち尽くしていた憶えがあります。

で、我に返って、そのまま歩いて家に帰りました。脚が痛かったですけど。


石川:

家に帰って、どうされたのですか?


I:

家に帰って、母にその出来事を話しました。話しているうちにだんだんと腹が立ってきて、悔しくて。「追いかけて捕まえればよかった!」って言ったんです。そしたら母は「お願いだからそんなことはやめてちょうだい。追いかけるなんて危ないから」って。

まぁ、実際には脚が痛いからとても走れなかったんですけどね。


石川:

時間が経つにつれて、悔しさとか怒りがこみ上げてきたんですね。

でも、「追いかけるなんて危ないからやめてちょうだい」とおっしゃったお母様のお気持ちもわかります。お母様もさぞかし心配なさったことと思います。


その後、警察には通報されたりしたんですか?


I:

警察には通報しませんでした。今思うと何で通報しなかったんでしょうね。疲れてたし話したくなかったからなのかな。手がかりも何もないし。そのあたりのことは何でなのか憶えていないです。


石川:

そうですか。私も昔同じような経験をしたことがありますが、私もその時警察に通報しませんでしたので、なんとなくIさんのお気持ちわかります。私の場合は、すぐに忘れたかったというか、誰にもそのことに触れられたくなかったので、自分の中で蓋をしてしまいました。


I:

私もそんな感じです!何となく「何もなかった」ことにしたかったんですよね。

それに、そもそも警察に通報するという経験をしたことがなかったので、110番をしたところでどうなるのかわからなくて。大事になりそうで嫌でしたし。


石川:

確かにそうですよね。通報してどうなるのかわからないですし、根掘り葉掘り聞かれるのもちょっと嫌という心境になるかもしれません。




石川:

その事件の後、Iさんの中で何か変わったことはありますか?


I:

はい。その後しばらくは、ヘッドホンをすることが出来ませんでした。

自意識過剰って思われるかもしれないですけど、常に後ろの気配が気になって、自転車とか車が近づいてくる音がすると、すぐ振り返っていました。足音ももちろんそうです。


石川:

そういう出来事があると、色々と反応してしまいますよね。

ヘッドホンは本当に危ないですよね。気配がわかりませんし。危ないってわかっているんですが、私もついついAirPodsをつけながら歩いちゃったりするんですよね。で、後ろから車とかが来てビックリするという。


I:

わかります。つい気を抜いちゃうというか。私も今では明るいうちはイヤホンをつけて歩いてしまうことがあります。でも夜はやっぱり怖いのでつけてないですね。


石川:

そうですか。今回Iさんのお話を聞いて、私も改めて注意しながら歩かないと!と思いました。


Iさん、今日は貴重なお話をどうも有難うございました。




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